日本におけるLGBTQ+層に該当する人の割合は8.9%※1と報告され、東京都の調査によるとLGBTQ+層全体の33%※2の方がこれまでに「困難な経験をしたことがある」と回答しています。「周囲の無理解」、「職場でのハラスメント」や「職場で法的な家族と同様の福利厚生が受けられない」などが困難な経験の理由に挙げられており、全ての人が性別並びに性的指向・性自認にかかわらず住みやすい暮らしや働きやすい社会づくりにおける大きな課題となっています。
KDDIエボルバは、創業時より社員が創造してきた多様な個性や価値観、ライフスタイルをもつ全ての社員がイキイキと働ける環境、職場風土があり、その風土の中で、D&I推進に取り組んでいます。今回はLGBTQ+のアライ(Ally)活動の一環として、LGBTQ+や男女共同参画をテーマに多数の企業・大学・自治体で講演を行っている、女装パフォーマー・ブルボンヌ氏をゲストに迎え、『LGBTQ+/SOGI(SOGIE)』について学ぶ講演会をリアル/オンラインで開催しました。本ブログでは講演の一部をお伝えします。
<講演会の様子/若槻社長と企業のアライ活動やSOGI(SOGIE)について意見交換も実施>
■LGBTQ+からSOGI(SOGIE)へ~ジェンダーより「自分らしさ」で人は活きる
講演ではまず、性の多様化についてお話がありました。一人ひとりの性のありよう(以下、セクシュアリティ)は、性染色体/肉体/装い/ふるまい/戸籍/性的指向など、さまざまな要素が重なり合うグラデーションで形成されるものであり、多様なセクシュアリティが存在しています。どのセクシュアリティにも当てはまらないQ(クエスチョニング)やそのほかのセクシュアリティを意味する+(プラス)も加えたLGBTQ+という総称があること。さらには、セクシュアリティはLGBTQ+に限定されることではなく「全ての人が持つもの」であり、誰もが持つ性的指向・性自認を表す言葉、SOGI(SOGIE)が日本でも広まってきていることを伝えてくださいました。
「女性だから/男性だからこうあるべき」というジェンダー(社会的・文化的につくられる性別)の固定観念が残る日本では、生まれ育った環境や社会、自分の所属するコミュニティで“型にはめる”という無意識の差別が起こりがちです。ブルボンヌさんは、ご自身のこれまでのご経験も踏まえて、そのコミュニティ環境が服装やふるまい、職業選択、家庭や職場での役割や責任の分担といった目に見えることだけではなく、意識や考え方にまで影響を及ぼし、ほとんどのセクシュアルマイノリティは「自分らしさ」を見せずに周囲に合わせて、違和感の中で生きていく困難や孤独感を感じていることをお話くださいました。
<出典:東京都渋谷区『LGBTQ基礎知識パンフレット』※3~「見えていない」マイノリティが直面する困難について~>
現在の日本は、自治体によるパートナーシップ制度は広がる一方で、法的な婚姻の平等は実現しないなど、LGBTQ+に関する法制度の整備状況がOECD35カ国中34位と世界の変化に取り残されています。
ブルボンヌさんは、こうした日本の環境の中で生きているうちに自己肯定感を持てずに悩む全ての人に「自分をもっと好きになってほしい」と伝え続けています。講演では、「社会の偏見や、自身を卑下する枠に押し込められて力を削ぎ落とし、やる気を失うのはもったいないこと。多様性の象徴、レインボーフラッグのように人間の性や生き方は色とりどりだから『自分らしい色』の中で輝き、活きてほしい。」と締めくくられました。
質疑応答では、自己肯定感を伸ばす方法、職場や社会での配慮についてなど、具体的な質問が多く挙がり、参加者の多くが講演内容をジブンゴト化しながらそれぞれのコミュニティや職場になぞらえて思案しているように見受けられました。
<講演後、ブルボンヌさんを囲んで記念撮影>
■満足度95%、アライへの理解も深まった講演会、参加者の声
この講演会は、全社員にオンラインでも展開しています。アンケートでは、95%の受講者が「実施して良かった」と回答、アライへの理解度も深まる結果となりました。「LGBTQ+やSOGI(SOGIE)について知ることができて良かった」「職場で同じ価値観を共有することはとても大切だと思った」「多様性に関して定期的に学ぶ機会が必要だと感じた」などの声もあり、LGBTQ+に関する継続的なアライ活動への希望は93%となりました。
■多様な個性・価値観・SOGI(SOGIE)を持つ全ての社員が自分らしく働きやすい職場の実現を目指して
ダイバーシティの推進と多様な個性・価値観・SOGI(SOGIE)を持つ全ての社員が、自分らしく働きやすい職場環境の実現を目指すシンボルとしてレインボーロゴを策定しました。ぜひご覧ください。
KDDIエボルバ、D&I推進のシンボルとなるレインボーロゴを発表
- 1. 電通ダイバーシティ・ラボ 『LGBTQ+調査2020』(2021年4月)
調査結果:https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2021023-0408.pdf - 2.東京都総務局人権部 『性自認及び性的指向に関する調査』 (2022年3月)
調査結果:https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/10jinken/base/upload/item/R3chosa.pdf - 3. 東京都渋谷区『LGBTQ基礎知識パンフレット』(2021年5月)
パンフレット:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/shisetsu/000064449.pdf
●KDDIエボルバは、豊かなコミュニケーション社会の実現を目指すSDGs活動として、働き方改革・ダイバーシティ・健康経営を推進し、イキイキと働くことのできる魅力ある職場環境の実現に取り組んでおります。