KDDIエボルバが目指す障害者雇用は、本人の“得意・好き”を活かした技能やスキル、自信、社会とのつながりを身につけ、社会人として自立しながら共に働くことです。当社は、公益財団法人東京しごと財団からのオファを受け、2021年6月より「D&I 障害者雇用 企業見学会」で職場・取組み・ノウハウを紹介し、これまでに40以上の企業・支援機関の方々に参加いただいています。
参加いただいた皆様からの「同じ内容でもまた聞きたい」というお言葉や、東京都外のため参加ができない企業様もいらっしゃることを受け、2022年6月28日に開催した「D&I~障害者雇用 企業見学会」を例に、KDDIエボルバの取組みの一部サマリとともに、参加者の声を紹介いたします。
「他社の事例、工夫を知りたい」「どんな仕事で活躍しているか知りたい」といった障害者雇用推進に取組む企業や団体のご担当者さまのお役立ていただければ幸いです。
これからの「すごくいいふつう」を探る人を応援するオウンドメディア「すごくいいふつうを、つくる。」に、都民の雇用・就業を支援する専門機関の東京しごと財団と、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)に積極的に取組むKDDIエボルバ、それぞれの立場から障がい者雇用推進の想いを語り合った『尊厳をもって生きる社会を創る障がい者雇用』を公開しています。
障がいのある人財がやりがいを持って働き、自立して生活を営んでいくことが「ふつう」である社会の実現に向けて、企業はどんなことに取り組んでいけばいいのでしょうか。現状の課題とは、現場の取組みとは、そしてその先に開ける未来とは──。あわせてご一読くださいませ。
■500名以上の障がいのある社員が活躍する企業になるまで
KDDIエボルバには、全国の事業拠点で採用した500名以上の障がいのある方々が活躍しています。募集は、ハローワークだけではなく、公式サイトのキャリア採用や、BPO・コンタクトセンターの採用サイト(エボジョブ)で行っています。ときには、ハローワークで求人を知り、公式サイトから応募・入社する社員もいます。
しかし、会社設立当初は、障害者雇用にかかる制度や体制、社員の知識・ノウハウが不十分であったがために、定着課題を抱えていました。3部構成で行った企業見学会の第1部では、この課題を解決するための取組みを紹介しました。
実際に当社が行ったのは、社員の「“わからない”をなくす教育」「ジブンゴト化する活動」等の社内風土改革、障がいを伏せて入社した社員がオープンにできる安心感の醸成と「障害者職業生活相談員」の全国配置、「障がい者専用の通院休暇制度」の導入です。
また、障がいのある方々の個性と特性を活かして活躍できる専門組織を新設、障がい特性に親和性のある業務への気づき、多くの工夫が生みだしています。
共生の場で生まれた工夫やノウハウを社内連携することによって、障がいの有無にかかわらず、BPO・コンタクトセンターやITソリューション、コーポレート部門で等しく働ける職場づくりを継続しています。専門組織は全国に5部門あり、100名以上の社員が活躍し、現在も採用が進んでいます。
<衛生管理を担う清掃や地域景観に貢献する植栽、農業、庶務・事務代行・社内便等の行う専門組織>
■職場見学は 地球環境にも貢献する「事務サポート部門」
第2部は、印刷・事務庶務代行・社内便などの業務を担う23名の社員が働く「事務サポートグループ」を見学いただき、業務内容や品質を維持する工夫をお伝えしました。本ブログでは、見学会後のアンケートで「自社にも取り入れたい」という声の多い取組みを2つ紹介します。
1つ目は、機密書類の処分・再生業務です。
一般的なシュレッダーで断裁するだけでは古紙リサイクルができません。そこで、事務サポートグループでは、8年前より“粉砕”して古紙リサイクルができる『エコシュレッダー』を導入。各フロアに機密書類専用の廃棄コンテナを設置し、事務サポートグループが毎日コンテナごと回収してエコシュレッダーで粉砕しています。
自分たちの業務が、会社だけではなく地球環境問題に役立っていることが、働きがいにもつながっている一例です。
<エコシュレッダーの粉砕業務>
2つ目は、品質維持の工夫です。
事務サポートグループには、定型業務が毎月70種類、スポット業務でも100種類以上あり、メンバー1人につき約40業務を覚えています。業務は、工程ごとにわけ、1工程終わると作業表に本人がネーム印を押して、「1ステップ完了ボックス」に入れ、次の作業表を取り出して仕事にあたります。ステップごとに設置したボックスには、文字だけではなく、ステップ数にあわせて印をつけてあり、視覚でわかりやすい工夫もしています。
ネーム印を押すことで責任感をもって仕事に望む姿勢が育まれ、ステップごとにボックスを分けることで進捗管理や品質維持だけではなく、達成感も感じられる運用になっています。
こうした業務の発案や、工夫は、最初からできたものではなく、共に働く中で、お互いにどうしたら良いかを話し合い、考え、改善している中で日々生まれています。
■得意・不得意を知って仕事を増やす社内営業、デジタル時代の育成
第3部は、見学した職場「事務サポートグループ」の業務・指示・管理の工夫や、配慮、認知の歪みの理解、管理者の面談スキル向上の取組みを実際の体験、心構えを交えて具体的にお伝えしました。本ブログでは「業務獲得の工夫」を紹介します。
4名からスタートした事務サポートグループは、採用が進むにつれて「業務確保」課題が浮上しました。真っ先に働きかけたのは「働き方改革、残業削減につながる“繁忙部署”」です。本業以外の『事務・庶務作業を代行します!』という社内営業を始めました。
事務サポートグループのメンバーは、得意・不得意があるため、業務の中から判断が伴わない入力作業など、得意分野を切り出して少しずつ業務を増やす取組みを進めました。
当初は、自分がやってきた業務を他の人が作業することを不安視する声もありましたが、成功事例の実績を重ねることで全社に信頼が広がり、今では「こんな仕事をお願いしたいんだけど可能ですか?」と相談が入るまでになっています。
業務獲得には業務対応力も必要になります。コロナ禍以降、オンライン化、ペーパーレス化が進み、印刷業務が減少傾向にありますが、事務作業のスキルアップを図り、安定的な業務獲得につなげています。
メンバーのスキルアップや、社会人として成長する機会の創出に取組む事務サポートグループでは、メンバーの学びたいことをアンケートで集め、独自の講座を定期的に行い、育成をしています。例えば、ExcelやPowerPoint等の独自講座は、噂を聞きつけた他部門の管理者から「Excel教室の資料、自部門の障害者雇用メンバーにも使わせてもらえないかな?」と問合せがくることも。
現在、事務サポートグループのメンバーの技能・スキルはさらに向上し、工程ごとのショット業務だけではなく、1本まるまる業務を受付できるまでに成長しています。
■「D&I~障害者雇用 企業見学会」について
東京しごと財団は、働く意欲を持つ都民のために、就業支援や、東京の産業の振興に必要な人材の育成を図り、豊かな職業生活の実現と活力ある地域社会づくりへの寄与を目的に各種事業に取り組んでいらっしゃいます。
企業見学会は、障がいのある方々が成長、自立を目指せる人材育成や、活躍できる職場環境の優良事例があり、障害者雇用を積極推進する企業にオファし、都内企業と支援者向けに開催しています。
<KDDIエボルバ 見学会の参加者アンケート結果より>
参加された企業様からは、
● 担当者の方の実際の体験談を聞けたことで、今後の自分が対応するときの参考にできてよかったです。
● メンバーへの接し方、作業スケジュール管理法の具体的な内容から面談フォローに至るまで幅広くすぐに活用できる内容を学ぶことができました。
● 実際に職場を見ることで、働いている方の環境や、業務内容のイメージができました。
● 仕事の仕組み、取組み、心構えなど具体的に説明いただき大いに勉強になりました。
● 面談に対しての取組みや、認知の歪みの部分に関して、支援員として非常に参考になりました。
といった嬉しいお声をいただいています。
東京しごと財団では、定期的に障害者雇用の参考になる「企業見学会」を開催していらっしゃいます。開催内容とスケジュールは、東京しごと財団のホームページをご確認くださいませ。
KDDIエボルバでの見学会も定期的に開催を予定しています。お気軽にご参加くださいませ。
●KDDIエボルバは、今後も年齢や国籍、障がいの有無...多種多様な個性や価値観をもつ全ての社員がイキイキと働ける環境の整備に取り組んでまいります。