アルティウスリンクには、コンタクトセンターを中心としたBPOサービス事業でお客様のカスタマーサクセスを支援するシステム開発やインフラ構築といった幅広い分野でたくさんのエンジニアが日々奮闘しています。
今回のブログでは、コンタクトセンターでオペレーターとして勤務した経験から、コミュニケーションの力で“お客様の楽しい”を広げたいとアバター「こみゆ」を開発したエンジニアにインタビュー。コミュニケーションのさらなる高みを目指して奮闘するアルティウスリンクのエンジニアの想いと「こみゆ」誕生ストーリーをお伝えします。
- 本記事の内容は、2023年9月取材時点の情報となります。
- 3Dアバター「こみゆ」は当社内での利用をしており、販売は実施しておりません。
■誕生から3D化まで 進化をつづける「こみゆ」の変遷
アルティウスリンクのBPO・コンタクトセンター事業をテクノロジーで支える技術統括本部のエントランスには、3Dアバターの「こみゆ」がお客様をお出迎えしています。受付モニターの前に立つと「こみゆ」が音声で受付けの方法をナビゲートするほか、画面操作に合わせて「こみゆ」が音声でご案内し、お客様とのより臨場感のあるコミュニケーションを実現しています。
<3Dアバター「こみゆ」 “コミュニケーションの未来を創造していく”想いから名づけました>
現在は3Dアバターとなった「こみゆ」ですが、誕生は2019年、社内プロダクト展示会で音声認識、音声合成機能の実装を施した2頭身の2Dキャラクターでデビューしました。その後、社員やお客様からの声を取り入れながら改良を重ね、2021年からSMSでの呼び出し機能を実装し、自動受付稼働がスタート。2022年6月には「こみゆ」を3D化し、8頭身のビジュアルを採用したほか、より表現力豊かなキャラクターへと成長しています。
< アバター「こみゆ」 ヒストリー>
さまざまなイベントでもナビゲーターとして登場するなど、今や技術統括本部を代表するキャラクターとなっている「こみゆ」誕生のきっかけや、開発秘話をエンジニアで「こみゆ」生みの親の張さん、上司の鈴木さんに話を伺いました。
<左:上司の鈴木さん 右:「こみゆ」開発者の技術統括本部 システム開発本部の張(チャン)さん>
■こみゆ誕生のきっかけはオペレーター時代の経験から
張さんは2015年に入社し、コンタクトセンターでお客様応対を行うオペレーターとして3年間勤務後、技術部門へ異動。現在Web系開発業務に従事しています。「こみゆ」誕生のきっかけはオペレーター時代の経験にあったといいます。
―― (張)電話応対を行う際、オペレーターはお客様と言葉でコミュニケーションをとります。対面のコミュニケーションでは身振り手振りなどの動作でも相手に伝えることができますが、オペレーターはそうはいきません。もっと楽しくお客様とコミュニケーションをしたい!という想いが募る一方で、言葉だけでコミュニケーションをとる難しさを常に感じていました。
たとえ対面ではなくても、究極的には人では無くても、もっとお客様と楽しくコミュニケーションが取れる方法がないかと思い、3DやXR※1の技術に興味をもっていきました。そのころ、担当業務がクローズすることになり、そのタイミングで「VR開発ができる部署で働きたい」と相談したところ、上司や業務でお世話になった皆さんのサポートのおかげで名古屋から東京の技術部門への異動が叶いました。無茶な希望を尊重していただき、感謝しています。その後、チャットシステムをご利用しているお客様企業から動くキャラクターが欲しいというリクエストがあり、キャラクターを活用したWebアプリケーション開発がスタートしました。
対話型AIチャットボットの開発ツールを使い、約6か月の開発期間を経て、音声認識、音声合成機能を実装したボイスボットの「こみゆ」が誕生し、社内プロダクト展示会で初披露しました。
<社内に初披露された初代「こみゆ」/音声会話やモーションを体験した社員の反応は上々!>
―― (鈴木)正式なプロダクト化に至るには、音声認識率の改善や表現力の向上など、まだまだ技術的に越えなければならない壁があります。まずは、オフィスの自動受付システムとして稼働させながら、検証を重ね、お客様や社員の意見などを収集しようと、SMSでの呼び出し機能も実装したうえで、自動受付としての稼働をスタートさせました。
■モーショントラッカーで表現力も生産性もアップ!成長を続ける3D「こみゆ」
こうして自動受付システムとしてスタートした「こみゆ」ですが、実際の運用が始まるとさまざまな課題が見えてきました。エンジニアとしてどのように課題に向き合い、改善を図ったのでしょうか。
―― (張)キャラクターの動きをつくるには、デザイナーのスタッフがモーションファイルを使いながら一つひとつの動作をつくる必要があるため、リソースの課題や、2Dのため表現力が乏しいといった課題がありました。また、コンタクトセンターでの展開を見据えて、より臨場感のある接客体験を提供できる、VRのような技術を使いたいというエンジニアとしての想いもありました。そこで、VRM※2というファイルフォーマットをつかいながら、キャラクターを3D化し、動きの部分の改善もはかっていきました。
―― (鈴木)動きについては、最初はカメラで姿勢推定※3を行ったのですが、お辞儀など奥行きのある動きが安定せず、更なる改良が必要になりました。そこで全身のトラッキングが可能なモーショントラッカーの導入を決めました。
<左:姿勢推定だと不自然な動きに 右:モーショントラッカーは人間の動きをそのままアバターに反映可能>
―― (張)自分に取り付けたセンサーに合わせた動きを収録していくため、人の動きをそのまま取り込むことができます。モーショントラッカーのおかげで、より精度の高いさまざまな動きをつくることができ、しかも実装も格段に容易になり、約3分の1ほどの工数となりました。念願のお辞儀が実装できたときはかなり嬉しかったです。
―― (鈴木)キャラクターデザインも劇的に簡単になったので、クリスマスやお正月、イベント用の特別な衣装など、いままでできなかった衣替えが簡単にできるようになりました。
―― (張)3D化のおかげで、コスト削減を実現したほか、より人らしい接客ができてきたと思っています。
<社内イベントで登場した特別バージョンの「こみゆ」>
■エンジニアの信念とチャレンジをバックアップ これからの「こみゆ」にも期待大!
こうして3D化し、より良い接客体験の実現に近づいたプロジェクトですが、この3D化の裏には上司である鈴木さんの多大なサポートがあったそうです。
―― (張)実はこのプロジェクト自体、開発が一時止まった時期がありました。再始動しようと3D化を検討したのですが、ランニングコストは減る見込みだったとは言え、まだ完成できていないものに対しての投資が果たして通るのか、不安な想いはありました。鈴木さんに3D化を後押しいただいたことはとても有難く思っています。
―― (鈴木)張さんが部下になったとき、張さんのこのプロジェクトへの想いを知り、どうすれば彼のやりたいことをサポートできるのかを考えた末、止まっていた開発を再始動させ、一緒に3D化を実現しこうと決めました。自分はそれほど3Dアバター自体には興味がないんです(笑)それよりも、個々のメンバーの適性を見定めたうえで、「やりたい」というモチベーションを最大限に引き出しサポートしていきながら、メンバーの仕事を創っていくことが上司としてのミッションだと思っています。
―― (張)今後もこのプロジェクトを通じて「よりよい接客体験」の提供を目指し、LLM※4をつかって自然に雑談ができるようにしたり、顔認識機能をつかって来訪者に名前を呼び掛ける機能の開発など、コンタクトセンター運営の技術開発とシンクさせながら、もっと楽しくお客様とコミュニケーションができる未来をつくるために、これからもチャレンジしていきたいと思っています。チャレンジには皆さんのフィードバックやアイデアが不可欠です。ぜひ、興味を持った方はお気軽にお声がけをいただききたいです。
「こみゆ」は現在、本社事務所:コーポレートオフィスのある、新宿ファーストウエストで活躍中!お立ち寄りの際はぜひ「こみゆ」とのコミュニケーションをお楽しみくださいませ。
- 1. XR(クロスリアリティ):VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの先端技術の総称
- 2. VR向け3Dアバターファイルフォーマット
- 3. 画像や動画から人間の姿勢を自動的に推定する技術
- 4. Large Language Modelの略 大規模なデータセットを使用して学習された自然言語処理モデルのこと
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