新型コロナウイルス感染症の収束が見えないまま迎えた2021年春、「アフターコロナ」に向けた見通しは、依然として不透明な状態が続いています。この1年間でコンタクトセンターでは在宅シフトやデジタルシフトなどさまざまな運用改革が加速しました。
こうした状況下、2021年5月26日と27日に「コンタクトセンター首脳会議~2021 アフターコロナの顧客接点、そのあり方を探る」と題した株式会社リックテレコム「月刊コールセンタージャパン」編集部主催の「ネクスト・コンタクトセンター・サミット2021春」が開催されました。
KDDIエボルバは、26日の「BCPだけが狙いでは続かない“中長期的視野”における在宅シフトのあり方」をテーマにしたセッションで、KDDIデジタルデザイン ネットワークソリューション事業部 担当部長 堀宣男様とともに、企画本部コンサルティング部 グループリーダー 鮫島一裕が登壇しました。
本ニュースでは、コロナ禍の1年で見えたコールセンター・コンタクトセンター運営企業様が抱える課題を紐解き、恒常的に運営効果を持続する在宅化についてハード・ソフトの両面からアプローチする考え方、手法を事例・ノウハウも交えて解説した「在宅運用はニューノーマルに ?効果を出し続けるポイントとは~」講演をサマリ版でレポートいたします。
当日ご視聴した方の振り返りに、参加できなかった方のご参考に、ぜひお役立てくださいませ。
2020年激動のコンタクトセンター、多くの在宅運用はBCP版「とりあえず在宅」
この1年で、KDDIエボルバのお客様企業や各社様から寄せられた在宅に関連する動きをみると、「完全在宅化」「在宅化による分散運用(センター縮小)」「在宅のトライアル運用」「コストやセキュリティ面の課題でセンター運用継続」があり、企業様ごとの「在宅コンタクトセンター」の差が大きく出始めています。また、「差が出る」一方で、在宅運用の多くは、BCPの手段として「危機的な状況=コロナ禍」で生まれた「とりあえず在宅」であるという共通点もあります。
●「とりあえず在宅」によくある問題
1.顕在課題は氷山の一角、BCPだからと目をつぶっている潜在課題が海の下に残っている状態(図1)
2.センター運用の延長線上で、自動化・効率化・CX向上などさまざまな課題にパッチワーク的に対処しようとする
図1.顕在課題は氷山の一角
ニューノーマルで目指すコンタクトセンターの姿とは
近年、コンタクトセンターには自動化・効率化をはじめとし、お客様のエフォート低減、CX向上、プロフィット化など、多くの変化が求められ、さらにコロナ禍により顕在化した追加要素が「在宅化」です。これだけ多くの要求を「現行の延長線上」で個別に対応することは困難です。各要求をトータルで叶えた状態を描き、目指す「ニューノーマルなコンタクトセンター運用」を企業様ごとに明確にすることが重要です。
「ニューノーマルな在宅」の例では、デジタルと有人のハイブリッド、チャネル拡充、そしてオペレーターサポートの充実をベースにしたマルチチャネルコンタクトセンターの、多様なロケーションの一部として存在する「在宅」があります(図2)。
図2.ニューノーマルで目指すコンタクトセンターの一例
つまり、「在宅コンタクトセンター」は、コンタクトセンターのニューノーマル化の一つの解であり、本質的な目指す姿は「CX向上」と、この先の就労人口の急激な減少に対応する「多様な働き方」にあることを念頭に、「再構築」することが重要です。
●ニューノーマルな在宅運用に向けたアクション
1.コンタクトリーズンを把握し、適したチャネル(有人・デジタル)、ロケーション(センター・在宅)で分類
2.オペレーター・管理者の業務の徹底棚卸を実施し、オペレーターの自己解決促進と管理者工数適正化を図る
ハード面で見る在宅コンタクトセンターの導入
ITソリューションを軸に在宅コンタクトセンターを構築するためには、コールセンターの特性と在宅比重を考慮した「電話(マルチチャネル)基盤」「センター内コミュニケーション」「社内システム利用」にかかる準備と柔軟な設計が必要になります。例えば、オペレーターを在宅シフトした場合、SV(スーパーバイザー)の目が届かず、支援・マネジメントが困難になるケースがあります。その解決方法の一例として、通常のコミュニケーションツールに加え、音声認識技術の活用が有効になります。
●「在宅コンタクトセンター」に音声認識を導入する3つの効果
1.応対状況全体をリアルタイムで把握し、既存コンタクトセンターと在宅コンタクトセンターを同等に支援・管理
2.在宅オペレーターが応対をリアルタイムで検知・サポートでき、応対品質の低下を抑止
3.在宅オペレーターのメンタル状況を把握したタイムリーなケア
セミナーでは、デジタルコンタクトセンターの柔軟設計に有効なITソリューションの一例として、顧客情報や行動履歴を蓄積・学習し、高度な接客を実現する次世代型コンタクトセンターの全体像(図3)を紹介いたしました。
図3.ITソリューションを活用したニューノーマルコンタクトセンター全体像 出典:KDDIデジタルデザイン
本セミナーは、250名以上の方に視聴いただきました。今回のセミナーでは、在宅シフトの課題と、ニューノーマルなコンタクトセンターの方法論をご紹介しましたが、自社で運用の見直しや再構築をすることは難しいケースも多くございます。
KDDIエボルバではアセスメント・コンサルティングサービスで、業種業界を問わずあらゆる企業様の課題やコンタクトリーズン分析・業務棚卸のサポートを行ってまいりました。デジタルシフト・在宅化・センターの分散化など、「ニューノーマルなコンタクトセンター」構築をお手伝いさせていただきます。お気軽にご相談ください。
- 本リリース本文中の製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です。