2019年6月28日、株式会社セブン銀行様、株式会社BEDORE様を講師にお迎えしたプライベートセミナー「人がつなぐAIチャットボットの実現」を開催いたしました。セミナーでは、カスタマーサポート部門におけるデジタルチャネル戦略の取組みや、AIを活用したサポート業務の自動化、今後の展望などを発表し、100名を超える多くのお客様にご来場いただきました。カスタマーサポート領域におけるCX向上と効率化の取組み、デジタルチャネルへの期待の高さを感じるセミナーとなりました。
セミナーレポート目次
- 株式会社セブン銀行 9言語に対応したビジュアルIVRにより、お客様の利便性を向上
- 株式会社BEDORE 多くの大企業との取組みから見えてきた「対話エンジンの浸透方法と発展可能性」について
- 株式会社KDDIエボルバ 本当は教えたくないチャットボット成功の秘訣、最新動向AIチャットボット2.0
本セミナーにご登壇いただいたセブン銀行様のインタビュー事例掲載の「コールセンタージャパン 2019年5月号」をダウンロードいただけます。ぜひご活用くださいませ。
9言語に対応したビジュアルIVRにより、お客様の利便性を向上
株式会社セブン銀行
お客様サービス部 カスタマーセンター 所長 中 知英 様
セブン銀行様は、スマホファースト時代到来によりアクセスするチャネルのニーズ多様化に対応、かつ、就労人口減少に伴う採用難を乗り越えるために、電話対応に限定しないカスタマーサポートが顧客満足向上と効率化の鍵になると考え、電話やメール以外にも、各言語のサービス説明動画やAIチャット、有人チャット、各種アプリなど、時代の変遷にあわせた日本語、英語、中国語、タガログ語等の9言語のデジタルチャネル拡張に取組んでいらっしゃいます。
本セミナーでは、外国語、日本語に対応しているカスタマーセンターとテレホンセンターに、KDDIエボルバのビジュアルIVR「VisualMenu」を導入した理由、導入後の取組みと効果、今後の展望について発表いただきました。
■ビジュアルIVR導入経緯と「VisualMenu」選定の理由
<セブン銀行様 プレゼン資料一部抜粋「デジタルチャネルを統合するソリューション」>
- デビットカードや各種サービス拡張により、9言語の入電数は、2014年から2018年にかけて1.5倍に増加
- サイト、アプリに点在するデジタルチャネルを集約による利便性と満足度向上、効率化(入電分散)を図るためにビジュアルIVRの導入を決定
- 選定には、ビジュアルIVRの利用に「スマートフォンアプリが不要」「端末・機種の制限が無い」「多言語に対応可能」「運用部門が簡単に画面のカスタマイズができる」「短納期(仕様検討・開発)」を重視し、数社の中から、KDDIエボルバの「VisualMenu」を選定
- お国柄によって、サービスとサポートチャネルのニーズ、ITリテラシー、情報量の適量が異なるため、9言語ごとに、表示メニューを開発
- メニューボタン表記の翻訳は言語により長文表記になるため、いかに短文化するかをKDDIエボルバと繰り返し協議、決定
■セブン銀行様とKDDIエボルバの共創「9言語のメニュー選定と翻訳」
- ビジュアルIVRの入口(URL)は、音声自動ガイダンス以外にも、ホームページ掲載、各種アプリからのプッシュ通知や、公式Facebookでのお知らせ、チラシ等へのQRコードの貼付など、導線設計を徹底。
- 特に認知度向上に有効だったのは「各種アプリからのプッシュ通知」。通知後、ビジュアルIVRのUU数は倍以上に増加
デジタルチャネル整備とビジュアルIVR導入の効果
- お客様アンケートの結果、ビジュアルIVRは「使いやすい8割以上」、「ブックマークしている7割以上」と、お客様ニーズに即したメニュー表示や、導線設計が適正で、利用率とお客様満足度が高まっていると実感
- ビジュアルIVR導入後、その他様々な呼量分散施策との相乗効果により入電数は導入前よりも▲約3割(減少傾向)となった。
- 例えば、日本語のチャットボットはビジュアルIVR経由が3割以上になる等、デジタルチャネルを集約、視覚化した成果と捉えている
今後、自動音声ガイダンスやコールフローを見直し、口座開設をしていないお客様からの利用や、各種アプリからのデジタルチャネルへの導線設計の強化を図っていく計画だ。
セブン銀行様のインタビュー事例が掲載された「コールセンタージャパン 2019年5月号」をダウンロードいただけます。ぜひご活用くださいませ。
多くの大企業との取組みから見えてきた「対話エンジンの浸透方法と発展可能性」について
株式会社BEDORE
セールス/コンサルタント 渡辺 博司 様
BEDORE様は、人工知能、機械学習にかかるアルゴリズム、技術の応用を提供する「パークシャ(PKSHA)テクノロジー」からスピンアウトした、自然言語に関わるアルゴリズムソフトウェアを提供する会社です。本セミナーでは、海外事例を元に「対話エンジン業務に浸透させる際に重視すべきポイント」「利用を促進する際に振り替えるべき指標の例」を発表いただきました。
■「対話エンジン+AI」の正しい理解、CSを高める対話とは
- 最初に幾つか存在する対話エンジンの種類について説明。過去のいわゆるチャットボットは「予め登録したFAQに対して、一語一句が適合した場合、質問に回答ができるもの」に対し、AIを活用した対話エンジンは「個人ごとに異なる言い回しや、曖昧な表現でも、正しい回答を見つけ出して対話ができる学習機能を持つもの」である
- さらに発展的な使い方の海外事例として、企業が保持する顧客データ(webサイト来訪時の閲覧履歴、購買履歴、問合せ履歴)に基づき、「お客様の状況に合わせた、画一的ではない、個人毎に内容が異なる対話」と、お客様が楽しくなる「雑談を交えた対話」を設計することも増えている。それにより、お客様のチャット利用の際に内容が深く、時間が長くなり、企業と結びつきがより強固になることで、CS向上につながっていく
- カスタマーサポート以外の領域でも活用が進んでおり、ビジネスプロセスの改善にも応用されてきている。例えば、商品返品を希望するお客様に対し、返品手続きの案内に加え、「類似商品を提案」する一連の流れを対話エンジンで自動かつ、音声でやりとりが完結する事例もある。今まで以上に簡単に、早く対応を行えるようにすることでCSと売上につなげていくことが可能
■浸透には「複雑な日本語を正しく理解」「効果測定」「対話エンジンの育成」が重要
- 海外の事例とは別に、日本で浸透しているカスタマーサポートの使い方もより発展させていくべきである。その際に重要な要素としてはしっかりと導入効果が出ているか、そしてどの視点で対話エンジンを成長させていくかが重要
- そのためには、当たり前ではあるが、まずはしっかりと「入力データ、つまりは顧客が入力した質問文」を理解できるか、日々のやりとりの中でどんな成果を出せているか、その上で足りない箇所から育てるのか、伸びている箇所をさらに育てるのか、という視点が必要になる
- 改良ポイントを常に可視化できるよう効果測定は、対話エンジンを社外の顧客向けに利用しているのか、あるいは社内の従業員からの庶務事務関連の問合せ用に利用しているのかで若干視点が変わるが、いくつかの例として「対話エンジンの総質問数(利用数)」「解決できた質問数」「利用顧客数(UU数)」「有人オペレーターの応答時間の変化」「売上の変化」等の結果から利用者ニーズに沿ってPDCAを回して対話エンジンを育てていく
また、BEDORE様は、「以前は対話エンジンのみの相談が多かったが、顧客対応の全体設計を最初に考え、その中の1つの手段としての対話エンジンの活用の相談を受けることが多くなった」とご説明。「まさに顧客対応のあるべき姿をさらに改善していくフェーズに来ていると認識し、施策の相談からツールの選定までを一気通関で対応できるようKDDIエボルバと提携を深め、サービスを展開していく」とご紹介されていました。
本当は教えたくないチャットボット成功の秘訣、最新動向AIチャットボット2.0
株式会社KDDIエボルバ
AI戦略室 エバンジェリスト 近藤 浩之
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AIチャットボットの正答率を向上させるためには“問合せの利用量”が決め手となります。利用率があがらないチャットボットは、学習データが蓄積されないため、正答率は上がりません。一方で、正答率が低いチャットボットは、“自己解決できないツール”とお客様に認知されるため、利用率が低迷するという悪循環に陥ります。
本セミナーでは、他ベンダーのシステムやソリューションでAIチャットボットを導入したものの、思うような成果につながらないという企業様からの相談実録に基づく改善事例や、当社の成功事例を交えた設計ノウハウ、開発の裏側など、余すところなくお伝えしました。
AIチャットボットの正答率・利用率があがらない原因とは
- 正答率が上がらない多くの原因は、システムではなく、FAQ・学習の不足やシステム担当者による学習の実施にある
- その理由は、シナリオ構造の初期設計の誤り、登録FAQの量、古くなった情報の改修、新たな情報の追加、回答に対する満足度の改善不足にある
- 利用率があがらない主たる原因は、AIチャットボットの配置場所や導線不足である
AIチャットボット成功の秘訣とは?
セミナーでお伝えした「KDDIエボルバ流、正答率の高いチャットボットの作り方」より、一部サマリを紹介いたします。
- 日本語の単語だけではなく文章の意味を理解する対話エンジンは、現時点では国内製が有効
- システム担当にAIチャットボットの学習が実施できない理由とは(初期学習するFAQ、シナリオは、お客様のお問合せを熟知するオペレーターの知見が必要)
- 本稼働前のAIチャットボットの具体的な学習方法とテスト方法
- AIチャットボットは、まだ自ら学ばない。効率的にAIチャットボットを育成する方法とは
- AIチャットボットが多く利用されるWebページでの配置方法とは
- AIチャットボットオペレーターのアイコンは、企業ロゴではなく、親しみやすい「キャラクター」が効果的な理由とは
最後に、今後リリースを予定している「AIチャットボット2.0」の仕様、機能や、数年後に実現するカスタマーサポート領域の自動化を紹介いたしました。
多くの皆様にご清聴いただき、ありがとうございました。
セブン銀行様のインタビュー事例が掲載された「コールセンタージャパン 2019年5月号」をダウンロードいただけます。ぜひご活用くださいませ。
KDDIエボルバが開催するプライベートセミナーは、BPO・コンタクトセンターで培ったカスタマーサポートのノウハウ、ナレッジや、技術活用の最新動向、新しいサービスなどを、有識者や、戦略的な取組みから成果を生み出していらっしゃる企業様を講師にお招きし、開催しています。今後も、皆様のお役に立つセミナーを開催してまいります。
- 「VisualMenu」は、KDDIエボルバが商標出願しており、今後登録予定です。
- その他本リリース本文中の製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です。
- 株式会社BEDOREは、2022年4月1日に商号変更し、「株式会社PKSHA Communication(パークシャ・コミュニケーション)」となりました。