エンジニアBLOG

2025/03/14

担当システムがEOSL(End Of Service Life)を迎えました。

自己紹介

中途入社4年目のHです。
前職で詳細設計、開発、試験などの下流工程業務を経験し、上流工程にも携わりたいという思いから、
アルティウスリンクに入社しました。

入社後に大手通信事業企業で基幹システム「L」に配属され、2024年12月まで3年間開発に
携わっていました。なぜ2024年12月までかといいますと、タイトルの通り、EOSLを迎えたためです。
システムの終局プロジェクトに最後まで携わり、サービス終了に立ち会える経験はなかなかない、
ことだと思いますので、振り返っていこうと思います。

EOSLってなに?

EOSL(End Of Service Life)は、製品やサービスのサポートが終了することを意味します。
私の担当システムに当てはめると、このシステムは開発パートナーとのアウトソーシング契約で
運用していました。この契約を終了することになり、開発パートナー資材であったアプリケーションなどを
使用できなくなるため、システム終了に向けた対応が必要となりました。

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担当システムについて

数百万件のお客様の契約や請求に関する業務や情報の管理をメインとするシステムでした。
機能・業務ごとにシステムは分かれておらず、お客様の契約管理から請求管理まで、
このシステム一つでいろいろな業務を有していました。

EOSLに向けた歩み

EOSLの対応は約3年かけて実施されました。
おおよその時系列で実際に行った検討・対応を簡潔に振り返ってみます。

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一番重要な検討 ~データ移行について

先述の通り、担当システムはいくつも機能を有し、その情報を管理していました。
機能を引き継ぎ、今までと同じようにお客様にご利用いただくには、過去や現在のデータが
必要不可欠でした。

1.情報の種類と移行先
担当システムが保持していた情報は主に、契約情報、請求情報、信用情報の3種類です。 

上記の情報はそれぞれ別のシステムに渡し、業務を引き継いでもらうようになりました。
移行件数は必要最低限にしましたが、契約情報などは一定期間保持しておく必要があったため、
100万件以上の契約に紐づく各種情報を移行することになりました。
これだけの件数を一度に移行させてしまうととてつもない時間がかかるうえ、他の機能に影響を
与えてしまう可能性もあります。そこで1日数万件ずつ、3か月かけて移行していく計画を立て、
移行を実施しました。

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2.情報の移行方法
引き継ぐ契約の中には、もちろん契約中のお客様もいらっしゃいます。
今回のEOSLはお客様には関係なく、システム間で情報移行を行った影響で
お客様に不利益を生じさせないことを大前提に検討・調整を行いました。
不利益とは、具体的には通話や通信の切断です。

契約の移行でどうしても少しは通信断が発生してしまいますが、通信断が最小限になるようにコア設備
(※)担当とも調整を行い、結果的には1契約当たり数十秒以内の通信断で済みました。
(もちろん、お客さまには事前にお知らせした上で実施しました。)
また、少ない件数での試験から本番を見据えた大きい試験を複数回実施し、本番の移行を実施して
問題ないよう念入りに確認・検討しました。
※コア設備:ネットワークの制御を行い、音声通話などの各種サービスの提供をサポートする設備

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EOSL対応を通して

3年がかりで対応したEOSL対応。無事に完遂できた今は安堵の気持ちでいっぱいですが、少し寂しい気持ちもあります。
初めての上流工程で難しさもありましたが、このEOSL案件を完遂できたことは非常に良い経験でした。
初めての上流、初めてのEOSLで感じたことを振り返ります。

  • (1)システム開発には本当にたくさんの人がかかわっている

前職では下請けや請負開発が多く、私はプロジェクトの一部しか見えていませんでした。
今回のプロジェクトでは開発パートナーや他システム、ユーザー部門、運用部門など多くの方々と検討し、
調整し、移行を実施したことで、多くの協力の上でシステム開発をしているんだと実感しました。

その分調整が多く大変な側面もありますが、これぞ上流工程の醍醐味です。
自分と異なる業務をしている部門からの意見も聞き検討した経験は、間違いなく私を成長させました。
また、担当システム内でも業務別にチームが分かれており、プロジェクト開始当初は別チームの業務について
詳しく知りませんでした。しかし、EOSLに向けて人員が削減されチーム関係なく助け合うようになり、
別チームの業務も少しずつ理解するようになりました。自分のできることが増え、他のメンバーに教えることで
自分の業務への理解も深まりました。

  • (2)大量の試験…

先述の通り、担当システムは複数チームで構成されていました。人員削減で試験も協力しなければならず、
慣れない用語や操作は大変でした。しかも今回は件数が多い…ということは、
契約のパターンもそれだけ多岐に渡るということです。丁寧にパターンを洗い出し、抜け漏れがないか確認し、
この3年間で一番多い試験項目数の試験を実施しました。

  • (3)データ移行した後も心配は続く

担当システム内で私は利用料金の請求など料金周りの業務・開発を担当していました。
基本的には前月のご利用分の料金を請求しますので、データ移行が終わった!よかった!では終わらず、
翌月の請求情報を確認するまでちゃんと正しく料金の計算が行われて正しく請求できるか心配でした。

  • (4)主担当を任せていただけた経験

大きな案件ではありませんが、EOSL対応の中の一案件の主担当をやらせていただきました。
上司をはじめとした周りの方や開発パートナー、対向先にたくさん助けていただき、
要件定義段階からリリースまで完遂できました。終局まで1年半ほど運用しましたが、
特に問題は発生せずに無事機能の終了を迎えられたときはホッとしました。
「自分には力が足りない…」と痛感しましたが、配属されたばかりと比べたら
成長しているとも感じられ、自信に繋がりました。

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最後に

EOSLを迎えるシステムに配属だと聞いたとき、実は「あと3年しかないのに、何かできることはあるのか?」
と少し不安になったことを覚えています。しかし、いざ終わってみるととても濃厚で充実した3年でした。

課題を乗り越え、成功を経験したことで、自分が想像していた以上に成長できたと思いますし、
このシステムに配属されてよかったと今では思います。どんなプロジェクトに配属されるかは、
自分のスキルや経験、タイミングや状況によるところもありますが、どのプロジェクトに配属になっても、
そこで得た経験はすべて自分の力になります。
私はここで得た経験を活かし、また別のシステムでも活躍できる存在になれるよう
成長し続けたいと思います。

以上、私の経験をお読みいただきありがとうございました。

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