アルティウスリンクが積極推進するDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)では、障がいのある方が個性や特性を生かして活躍できる職場環境や制度を整備し、社員たちが育んだ文化・風土があります。全国のBPO・コンタクトセンター事業や、事務サポート、清掃、農産物栽培などの多岐にわたる業務で活躍するスタッフは500人以上!また、特例子会社の株式会社ビジネスプラスでは、約200人の障がいのあるスタッフが活躍しています。
今回のブログでは、障がいのある人財がやりがいを持って働き、自立して生活を営んでいくためのビジネスプラスの取り組みを、スタッフの活躍とともに全3回の連載で紹介します。
第1回目は、ビジネスプラスの取り組みと、清掃業務で活躍するスタッフを紹介します。
連載vol.2 喫茶編 ~“できない”を“できる”に変えていく喫茶業務の工夫
【連載vol.3】共生社会を目指すビジネスプラス・製作編 ~真心と創意工夫の技で温もりを届ける
■ビジネスプラスが目指す共生社会の促進
障がい者雇用の推進現場では、障がいの特性によって就職率に偏差がでている課題があります。ビジネスプラスは、障がいの種類に関係なく活躍できる共生社会(ノーマライゼーション)※1に貢献する職場を目指して、さまざまな工夫と取り組みを試行錯誤し、障がいのある方でも実施できる業務を創出することで、「知的」に特性があるスタッフの積極雇用を実現しています。
<左:厚生労働省公表「令和4年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめ」より>
- 1.ノーマライゼーション:厚生労働省が提唱する「障がいのある人と障がいのない人と同等に生活し、ともにいきいきと活躍できる社会を目指す」理念のこと
「知的」に障がいのあるスタッフが多いビジネスプラスでは、得意を伸ばして仕事に自信をもち、達成感を味わいながら品質や業務効率を高める職場づくり、人材育成を目指すことで、スタッフがお互いを認めて協力・助け合う風土を醸成し、障がい者雇用の拡大に取り組んでいます。
例えば、障がいのあるスタッフが力を発揮し、安定して働くためには、適切な業務指導やスキル育成以外にも、声掛けや日常会話を通じてのスタッフの苦手や心のサポートする援助者の存在が欠かせません。ビジネスプラスでは、障がい者スタッフ3名に対して「障害者職業生活相談員」の資格を保有する援助者1名を配置するユニット制を導入することで、スタッフが心身ともに健全な状態で活躍できるように一人ひとりに向き合った職場整備を行っています。
その結果、東京、札幌、那覇の5つの拠点でアルティウスリンクとビジネスプラスの事務サポートや、社員向け喫茶、オフィス清掃、ノベルティ制作、備品管理などさまざまな業務でスタッフが活躍する企業に成長。2021年には、厚生労働省の障がい者雇用の優良な中小事業主に対する認定制度「もにす」を取得、2023年9月時点での入社1年後の定着率は91.4%と長く働き続けられる会社になっています。
■朝7時に出社!コンタクトセンター開始前に磨き上げる清掃プロフェッショナルの裏側
アルティウスリンクのBPO・コンタクトセンター始業前に完遂する必要のある清掃業務を担うスタッフの1日は朝7時にスタートします。清掃用具の準備を行う当番は、もう少し早くに出社して7時10分に始まる全体朝礼の前には、道具一式を作業スペースにテキパキと並べていきます。朝礼では、管理者と援助者はスタッフ達の日々の体調や心の状態を挨拶の声や立ち居振る舞いからも確認します。
清掃作業は、フロアの掃除機かけから、テーブル・アクリルパーテーションの拭きあげ、前日のゴミの回収と分別、ゴミ袋の設置、消毒、シュレッダーなど多岐にわたり、オフィスの執務室から休憩室、会議室をユニット単位で分担。執務室の清掃エリアは、BPO・コンタクトセンターの受託業務単位で約200以上、最も清掃規模が大きい札幌では約100もあり、品質だけではなく効率性も求められます。
――(札幌事業所 札幌北 清掃グループ長 北川 徹さん)スタッフが時間内に作業を終了できるように日々、改善を積み重ねています。例えば、拭き掃除であれば、拭きあげる什器のテーブル面・側面・座面・アクリルパーテーションなどに合わせて最も綺麗になる材質や形状の布巾やウエスなどを選定し、かつ、何を使えば良いかわかるように色分けし、スタッフがどこの担当を何色の道具で清掃するかを決めたルーティンワークにする工夫で品質とスピードの両方を兼ね備えた清掃を実現しています。
そのスピードは、休憩室の6人掛けのテーブル席の清掃で1分弱。
テーブルの上のアクリルパーテーションを移動させながらテーブル面を隙間なく拭くと、テーブルの側面を別の布巾で拭き、アクリルパーテーションをまた別の布巾でくもりや拭き跡が残らないほどの品質で仕上げて、椅子の座面と背もたれをさらに別の布巾で拭くという作業量からは考えられないほどの速さです。
また、丁寧さ、きめ細やかさもあり、掃除機がけは1脚ずつ椅子を引き出して隅々まで吸い取り、ゴミ箱の入れ替えでは、新しいゴミ袋を設置したら底面に古新聞を敷いて水分のあるゴミが捨てられたときに漏れてゴミ箱や周囲が汚れない工夫も。
――(北川さん)入社してから手順を覚えるまでは3か月ほどトレーニングを行っています。最初は、「覚える」「忘れる」を繰り返すケースが多いですが、みんな業務に真剣に向き合っていて誰一人として手を抜くことがなく、純粋で真面目なスタッフ達が活躍しています。担当や手順、置き場所、移動ルートを決めることが大切で、例えば、掃除機や洗い機などの用具も、全てラベルを貼付けして置き場所と用具のラベル番号が一致しているか、足りない用具は無いか、今日使う用具は何番かが一目でわかるように管理し、準備と片付けの時に当番のスタッフがチェックできるようにしています。
一度定着すると品質とスピードは一気に向上して、8時30分に予定している清掃エリアが8時には終了していることも多いといいます。
清掃を終えたスタッフ達に話を伺うと、「アクリル(パーテーション)の汚れを綺麗にしたり、ハンディ(掃除機)で小回りを掃除するのが楽しい」「綺麗に、物音を立てないように(意識している)」「みんな仲が良くて働きやすい」「毎朝掃除に来るのが嬉しい」と応じて、笑顔に。
■働きがいが自信と意欲に!アビリンピック北海道大会3位入賞!
働くことで自信がつき、もっと仕事を覚えたい、いろいろな業務をやってみたいという意欲につながります。
今回取材した札幌地区のスタッフの中には、通常業務では使用していないパソコンに挑戦したいと勉強して、令和5年度アビリンピック北海道大会(北海道障害者技能競技大会)に出場して「パソコンデータ入力」競技部門で3位に入賞した方もいます。
出場したパソコンデータ入力競技は、紙のアンケート用紙50枚以上の内容をパソコンに入力したり、見積書を作成したり、紙の文書とWordの文書を比較して誤りをWord上で修正する3つの課題があり、入力の速さと適格さで競い合います。入賞した寺崎さんは、「“マイペースにコツコツ”が報われたと思います。もっと勉強して今度はワープロ(の競技)に出たい」と嬉しそうにメダルを見せてくださいました。
<左:ビジネスプラス代表取締役社長 鈴木 庸明さん、右:3位入賞の寺崎さん>
寺崎さん、おめでとうございます!!
次回は、アルティウスリンクとグループ会社にドリンクを提供するビジネスプラスの「喫茶コーナー」で活躍するスタッフと取り組みをお届けします。ぜひご覧くださいませ。